InnoSenT Application Note Ⅰ – 5

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5 レーダーモジュールの取扱いおよび機構的側面

5.1 取扱い上の注意事項

これまでにも述べたとおり、InnoSenT社のレーダーモジュールの取扱いは非常に簡便であり、特別な取り扱いは必要ありません。静電気放電(ESD)に対しても特別に感度要求はありません。アンテナ部分およびインターフェースコネクタについても、特別な接地をしていない人が触れても特に問題ありません。

5.2 レドーム材料および推奨寸法

通常の運用において、レーダーモジュールは厳しい環境条件に耐えることが求められます。したがって、筐体内への設置が推奨されます。

その場合、アンテナ部は金属材料もしくは金属層で覆ってはなりません。プラスチック材料およびフォーム材は、炭素繊維などを含まない限りレーダーカバー材として非常に適しています。

  • 金属ホイル、あるいは部分的にでも金属部品でのカバー
  • アンテナ構造体へのあらゆる塗料やニスのスプレー
  • CFK(炭素繊維強化樹脂)ラミネート(導電性)によるカバー
  • プラスチック材料がエッチングアンテナ構造体に直接接触している場合(高誘電率によってパッチの共振周波数に影響)

また以下の条件での材料使用は非常に適しています:

  • プラスチック(ABS、PVC等)によるカバーであっても、アンテナパッチ構造と直接接触がなく、適切な厚さと間隔が保たれていること
  • スチロポールなどのフォーム材は比誘電率が1に非常に近く、アンテナ表面と直接接触しても問題ありません。

24 GHz帯における設計に関する経験則:

  • プラスチック材料の厚さ:約3 mm(0.12インチ)
  • アンテナ表面との空気間隔:約6 mm(0.24インチ)

言い換えれば、上記よりも厚いプラスチック材料を用いた場合、通過損失の増加と、アンテナ放射パターンへの影響の可能性を考慮する必要があります。塗装面の黒色仕上げやカバー材にカーボン粒子を入れる処理は絶対に避けるべきです。

自動車用途ではバンパー背面への設置など、特にバンパーを透過しての検出が求められます。これは金属光沢塗装仕上げや汚れ、泥、氷が存在している状態でも動作する必要があります。一般的に金属光沢塗料は予想よりも透過損失が少なく(約2~3 dB)、一方で白色塗装は酸化チタンを多く含むため高い吸収(約3 dB)があります。

氷や泥の付着による影響は最大で16 dBの追加減衰を引き起こす可能性があり、長距離性能や小さなレーダー断面積を持つ物体の検出性能を限定的にしてしまいます。とはいえ、レーダーは光学式アプローチのように完全に機能停止することはありません。

最後にアンテナパターンに関する注意点を補足します。アンテナパターンの幅が角度(度)で示されている場合、それは送信・受信エネルギーが、最大値の50%に低下した点を意味します。(半値角、HPBW: Half Power Beam Widthなどと呼びます)。

つまり、この角度の外側で信号の送受信が完全にできないという意味ではありません。

たとえば、非常に大きなレーダー断面積を持つ物体(トラック、金属製ドアなど)は、この減衰を差し引いても有意なレーダーエコー信号を返す可能性があります。したがって、距離情報を伴わないレーダー反応から、目標物の大きさや種類を判断すべきではありません。

2025/11/17   Radar White Page, おすすめ記事    , , , , , , , , , , ,